雑記

2023/12/30

新宿はすえた臭いがした。そこら中に落ちた吸い殻や空き缶と等間隔にうずくまるガード下の生きもの。5歳より少し前、あたしは誰に何を言われたでもなく息を浅くし、時折息を忘れ、パパの手を掴んで足の間を歩く。 おじいちゃんの家に行くとき、必ず通るガー…

2024/5/12

花見をした時から目をつけていた。シロツメクサの咲く頃花冠を編もうと。 一番大きな広場から外れた、テニスコートの裏手の原っぱに座り込み、ひとり花冠を編む。はじめに2本、茎が長くしっかりとしたものを摘み、軸にする。あとは編むに良さそうな花を見繕…

9/11

おかしな夢をみた。 * 私はあるクリニックの取材に訪れていた。車で来たわけではなかったが、車移動を前提にしたようなだだっ広い駐車場がそこにはあり、私はその真ん中あたりからクリニックの写真を撮った。車はぽつぽつと駐まっている。黒い車が1台もない…

2021/12/3

自分が子を産む未来を想像していない。 私は子を望まない。望むつもりも、ほとんどない。 * 炯 自分の子に名づけようとおもっている。 ひかり あきらか 光かがやくさま 特に、眼が光りかがやくことをあらわす。 静謐で、でも音の聞こえてきそうなかがやき。…

2021/5/13

ぼくはある人に飼われている。 彼女はぼくらの種族でいう結婚適齢期にふくまれ、ひとり(とぼく)で暮らしている。 外で働いてきて、帰ってくると食事とお風呂をすませて眠る。お酒をのむときもある。あまり高そうでないワインを飲んでいる。 彼女が出かけて…

2021/11/18

年に数度、献血に行こう!とおもいつくタイミングがあって駅前の献血ルームに行く。 大学の最寄駅前に行くこともあるし、通学に使っている駅前に行くこともある。大学1年生の時から年に数度、つまり今日で6回目くらい。だけれど、あたしは一度も献血をできた…

2019/8/21

大学生になって初めての夏休み。私は名古屋に向かっている。朝9時、今はまだ静岡を過ぎたあたり。 友達との旅行だけれど、私だけ前のりする。なぜなら、新幹線に乗るお金の余裕がなかったから。余裕がない、というのは少し語弊があるかも。おいしいものとか…

2021/8/25

私はいま、アトラスを目の前にしています。 そう、あのティターンのアトラスです。 彼が何を支えているかはよく見えないのですが、その苦悶の表情はとてもよく見えます。きっと私のいる位置は彼の苦しみを見るに最適な地点なのだと思います。 座っているでも…

2021/2/18 

1Kのアパートにバイトから帰ってきた24:30くらい、どうしてもお風呂に入るのが面倒臭い。コートもセーターもヒートテックもベルトも全部その辺に放り出したまま、毛足の長いカーペッの上に仰向けで寝転んでいた。シーリングライトが視界の際に収まるくらい…

2022 4月某日 

「えっと、できれば、その……わたしのつくったものに影響されてほしくない、というか」 ほう 「感想をもつ、とかは当然自由なんですけど。考え方が変わったとか、見方が変わったとかはいやで……。そんな力があるとも思っていませんが。誰かにとってはあるかも…