11/6

気圧のせいか落ち込みがひどい。前もこんなこと書いたな。

病院にいった方がいいのはわかっているのだが、どんな診断を出されても今は落ち込みそうで、緩和のために前向きに通院することにつながらないように思う。やっぱり元気で前向きなときに病院は行くべきなのだ。こうなってからでは当分行く気にならない気がする。こういう時は電話で予約すること自体ハードルが高い。

最近、なにが怖いのかもなぜ怖いのかもわからなくなってしまう瞬間がありその瞬間が一番怖い。

恐れているものごとなどいくらでもあるのだが、理由は各々にあるはずなのだ。似通っていることももちろんあるがニュアンスがちがうことを認識していたり、ちがう言葉で説明できたりする。

しかし、ふとしたときそれらが一緒くたになる。

耐えると逃げる以外の仕方を見つけられていない。

休み時間、たこ焼きが食べたくてラクーアに行ったのにナイター(?)とかち合って諦める。ラクーアの無印で紅茶バウムとなんかのフレーバーの炭酸を買って、ベンチに座って食べる。行き交う人々をぼおーっと眺め、人がたくさんいるなあ、と当たり前のことを思う。

この辺に住んでいる人もいるのだから少しも変じゃないのだけど、成城石井で日常の買い物をしたと思しき女性が遊園地デートをしているらしいカップルとすれ違っているのがおかしかった。人のたくさんいるところは決して得意ではないが、ひとりでこうして眺めているのは好き。

疲れてしまった。今日はマニキュアしてなかったら本当に駄目だった。

なりたくないものに少しずつ 少しずつ近づいていっているのではないか。

わたしがそういう乗り物に乗っているのか、自分の足が知らぬ間にそちらに向かっているのかはわからないけれど、だからこわいんだ。

10/31

無印によって、注文品を受け取る。他のものもついでに買ってしまう。お香とか買う気なかったのに。無印はいい匂いがするので香り物が欲しくなる。

ネット注文したタッパーが思ったよりも小さい。冷凍ご飯用に使うことにする。

大奥のドラマをみる。

役者さんの演技で話をみられるのはとてもよいのだけれど、なんせはしょりにはしょってすごいスピードで話が進むものだから毎度もったいないと感じずにいられない。

冨永愛の吉宗とか松下奈緒の意次とかもっと見たかった。今回の仲間由紀恵の治済も圧巻。脇息に預ける姿勢が漫画のまんまで、でも漫画にはないコマ間がなめらかに埋まっていて夢中になった。

岸井ゆきの好きだから、幕末編も楽しみだな。

NANA』が届いたので読む。

NANAは高校生の頃に立ち読みで読破したきり。もう、私はナナとハチよりも年上なんだって。信じらんないよ。

私が死んでしまって、もしそのあとに完結するなんてことがあったら泣いてしまうな。

不死鳥を殺し続けるように、絶やさぬように。くたびれぬように、戒めを。これが我々の共生だと願うように。

しかし、ほんとうに不死鳥を失ったとき、私は蘇ることができるのだろうか?そこに在るのだろうか?

10/13

昨日は代休だったので、眠ったり本を読んだりゲームをしたり衣替えに少し手をつけたりしていた。

昼寝をしたせいか、眠れない。今は3時半。

昨日の昼はひさびさにとてもよく眠れたけれど、最近眠りが上手ではない。

あまりみたくない内容の夢を見ることが多いせいか、起きたときの疲労感がつらい。低血圧ではあるからなんにせよ寝起きはつらいのだけれど、そういった倦怠感とは違う。

ルーティンのメイクではクマも隠れきっておらず、歳よりも上に見られがちな容貌に拍車がかかっている。

来週あたり、ルビーパレス行こうかな。そろそろ思いつく方策はこなしていかないと。

* 

新しいブーツをおろした。

ZOZO TOWNのセールで買った、チアキカタギリの編み上げブーツ!革だからきちんと大切に扱わねば。

休憩に出て何を食べようかと大通りを歩く。

立ち並ぶ店のガラスに写ったブーツがあまりにもよいフォルムで、とてもうれしい。スタイルもよく見える。これはよい買い物をした。

お気に入りポイントはスクエアトゥと薄めのヒールです。

今日はTheoryの赤いメッシュトップスとユニクロの黒のストレートパンツを着ている。これに先日友人に誕生日プレゼントとして買ってもらった、赤いマニキュア(Diorですよ、Dior!私、Diorのマニキュアはじめて!)をつけたら完璧…!今、ジェルネイルをしているのが悔やまれる。かわいいんだけどね、むらさきだし。

10/10

たまに

結婚したらいいんじゃないかとおもう

(それは縛られたいからだ 法に、生活に、夫に)

子を、育てたらいいんじゃないかとおもう 

(それはいなくなりたいからだ 与えられるものをすべてのこして)

恋人をもったらいいんじゃないかとおもう

(それは与えられたいからだ 罰を、声を)

つくりかえて と頼んだらいいんじゃないかとおもう(それはゆるされたいからだ 在ることを)

 

こわい

こわいままでいい

こわくても私は機能するのだから

 

 

 

 

9/14

血だらけだった。

着たことのないセーラー服を私は着ていて、私も斜め前の席の彼女も教室の自席にきちんと座っていた。まわりの子もみんなおんなじように座っていた。全員クラスメイトなのに、私の友達は彼女だけだった。彼女を仮にAと呼ぶ。

Aの椅子の下に転がった真っ赤なかたまりがだんだん白くなる。引きかえみたいに、椅子の縁からぽたぽたとパータイ色の液体が落ちてAの影を潰していく。

なめらかに広がった水たまりがどろりと煮詰められ、赤錆と緑青が浮く。白くなったかたまりがそのぬかるみを吸って、また赤くなる。

とっってもちんけな真っ赤ね!!

と私は頭の中で唾を吐く。

Aから滲んだ液体がまた椅子をつたっていく。さっきよりもゆっくり…ゆっくり……

くしゃんっ!

くしゃみをして、からだが震え、目線があがる。

彼女は彼女の形のまま、黒板の真ん中についたチョーク入れの底、で固まった石灰みたいなかたまりになった。白でもピンクでも青でも緑でもオレンジでもない、あのみょうちきりんで底抜けに明るくってハッピーな掃き溜め。Aの頭の先からぽろぽろ崩れて、Aの影を潰すぬかるみを覆っていく。まるで化粧するみたいに。ああ、そっか…この色どっかで見たと思ったら、エレガンスの粉の色だ……あ、Givenchyもこんなんだっけ……。ものすごく悲しいのに、私はなぜ悲しいのかさっぱりわからなかった。どちらに怒っているのかわからなかった。どちらにも、が曖昧でないのかもしれない。

ねえ、A。あなたのこと忘れたくないな。

届け物の最中、ふと考える。

なんか、私は身体と戦いすぎじゃないか?

私は身体に負けたくない。これは確かである。しかして、周りを見渡してみると、身体とわりと穏やかに共生できる人がたくさんいる……。生得のものなのだろうか?そんなことないと思うのだけど。

焼かれるまでは一緒にいるんだよなあ…。身体に片想いしているみたいだ。

9/12

えらい人とごはんを食べに行く予定を着替える瞬間は忘れていて、電車に乗ってからおもいだす。

全身ユニクロだ!まっくろだ!

しかし、だからといってどうにかできるわけではない。たぶん、大丈夫だろう。

働く。

タイミングを間違えて、17:00頃に昼ごはん。

スピリッツを読む。週刊誌は目まぐるしく連載がはじまる。

 

今日はあんまり「迂闊」が出現しなかった。しかし、過去の私はやはり迂闊。改善点を指摘され、まったくその通りだ!と思う。

タクシー移動の最中ってなに話せばいいかわかんない。

とっっってもおいしい焼き鳥屋に連れて行ってもらった。友達ども、ぜひ一緒に行きましょう。

2軒目、バー。9月に入ってからはじめての煙草を吸う。巨峰のカクテルとジンフィズを飲む。巨峰大好き。

好きな果物

巨峰 りんご 柘榴 みかん グレープフルーツ さくらんぼ キウイ びわ 桃 すいか すぐり ブラックベリー ラズベリー 柚子 パッションフルーツ オレンジ 

 

グミの実とくわの実は果物?

 

9/11

おかしな夢をみた。

私はあるクリニックの取材に訪れていた。車で来たわけではなかったが、車移動を前提にしたようなだだっ広い駐車場がそこにはあり、私はその真ん中あたりからクリニックの写真を撮った。車はぽつぽつと駐まっている。黒い車が1台もないのが妙に思えた。おかしな点はもう一つあった。先にある2階建てのクリニックはさして大きくもないのだ。母の実家の病院(今は他に貸しているから病院ではないが)、祖父がやっていた病院2つ分くらいに見えた。こんなパーキングエリアのような駐車場なんていらないだろうに。奥に広い建物なのだろうか。

オフホワイトの建物から出てきたペールピンクのゴルフカートが、おもちゃみたいな音を立てて近づいてくる。目の前で停止したときだけ、うぃぃん、と嘘みたいにまともな電気の音がした。

「お待たせしました」

カートに乗っている2人のうち女性のほう、指原莉乃さんが降りてくる。私は取材対象を認識して、挨拶を交わし、一緒にカートに乗り込む。

カートに乗っているもう1人は年齢不詳の男性で、端正でいてあまり印象に残らない、でも不思議なエロティックを感じさせる面持ちをしていた。その感覚は正しかったようで、彼についてはこんな印象しか覚えておらず、服装も顔立ちも身長すらおぼろげにしか思い出せない。くすぐったそうな毛先の細さだとか、頬に落ちた毛先の影だとか、そんなことばかり焼き付いている。たしかに彼は一日うしろに連れ立っていたのに。

ペールピンクのカートは私たち3人をのせて、カタカタとおもちゃみたいな音で進んでいく。私はその間、指原さんと他愛もない雑談をしていたけれどその中身はほとんど覚えていない。

(彼女と渡り合って取材なんてできねえよ。私、ペーペーだしなあ)と話しながら感じたことと、

「すみません、今日上司の〇〇が急用で私だけになってしまって」

と自分で言ってから、(あ、そういえば本当は私がメインの取材じゃないんだった)と思い出したこと。覚えているのはそれだけだ。

異様に音のしない大きな駐車場で私たちの話し声は異物だった。物言わぬ彼がいちばん普通に思えた。カートの振動だけが生々しく私たちを揺らしていた。

*ブラックアウト

クリニックの中は想像より薄暗く心地よかった。こつこつと響く指原さんのヒールの音、したしたと吸い込まれる私のフラットシューズの音、それから、とぉん…とぉん…と迫る革靴の音……。病院の廊下を歩く音だ…それもある程度に大きな病院の…。ベージュのリノリウムの床と外観と違わぬオフホワイトの壁が、終わりが見えぬほど長く続いている。指原莉乃プロデュースのクリニックだというから、もっと明るくやわらかで都会的なところだろうと思っていた。それこそ「さっしー」のパブリックイメージに違いないものだろうと。

「録音をまわしても良いですか?」

訊ねると指原さんがニッコリ頷く。設備を案内されながら私は質問を振り、指原さんが答える。その中身も、やっぱり少しだって覚えていない。レコーダーが代わりに記憶している。クリニック内は撮影禁止らしく、カメラが使えないのが惜しかった。会社から持っていけと預けられた、私には到底使いこなせないカメラもうしろに付き添う彼に取り上げられた。おかげで身体は随分軽いけれど。

バラエティで観るままに話す彼女が、このほの明るい、消毒とリネンの匂いの中に立っている姿はもうみられないだろうに、それはそれは必要以上に美しかった。この姿をきちんと写真に切り取って誌面にあげれば、もう誰も彼女を彼女より年が上の男性司会者と組ませたりなんかしないのに。ああ、あんなもの作るプロデューサー、ひとりひとり突き落としてやりたい。あの高くて、無駄にガラス張りの建物の窓ガラスをハイヒールで割って、笛を吹いて整列させてあげるよ。ねえ、覗いてみなよ、って。まあ、どちらにせよ私の写真の腕じゃあ難しいかな……。

*ブラックアウト

一通り案内されて、10畳ほどの会議室に通される。しばらくすると、医師と思しき男性が入ってくる。また、挨拶を交わして、質問を振り、医師が答える。指原さんが答える。にこりと微笑む。数度、軽口を挟む。この中身もどうしても覚えていない。レコーダーが記憶している。ずっと歩いてきた廊下よりも、LEDの光が白く眩しく、廊下と変わらぬリノリウムの床が別物のようにてらてらと艶めいていた。

あらかた取材が終わって、お暇しようかという頃、指原さんが言う。

「ああ、鍛治乃さんも卵子凍結していきませんか?ご興味あるって話されてたじゃないですか」

「え?」

「50,000円です。その後、1年毎に10,000円。こんな条件他にないと思います。私、もっと妊娠と出産を自由にできたらいいと思っているんです。多くの女性がもっと簡単に選べたらいいと思っているんです。本気で」

まったくその通りだ。そして、確かに相場よりずっと安い。彼女は極めて真剣で完璧な表情と抑揚で話したから、真にそう願っているのだろうと思えた。卵子凍結と卵管結紮は私も手段として考えていたし、いい話なのかもしれない。例え、ペテンであったとしてもいい。ついでにこのまま録音をまわして、ルポルタージュにでもしてしまえばいいのだ。大っ嫌いな奴らを悪役に仕立てて、三文芝居を打ってやったらいい。それじゃあルポルタージュ"風"か。

「お願いしてもいいですか」

できる限り凪いだ声が良いだろうと身体に任せる。こういう話し方は身体の方が得意だ。身をもって学んでいるし、身体は怒らないから。しかし、私はこの判断をすぐに後悔した。

「では、すぐにでも」

これは医師が言った。医師と目が合った刹那、性的な惹かれに貫かれる。奥底を叩き壊されるような充足と甘美。

ああ、さいあくだ。どうしようもない。

*ブラックアウト

医師に促されるままに席をたち、部屋を出る。黒子のように、変わらず彼は私の後ろを歩いている。指原さんが部屋を出たのかはわからなかった。私はもうその時、自分の身体の調伏に手一杯だった。殺す気でかからないと勝手をするのだからしょうがない。左胸を触り、レコーダーが入っているのをどうにか確認して、殴り合いに集中する。医師が何か喋っているのをレコーダーが引き続き、私に代わって記憶する。

*ブラックアウト

卵子の採取は驚くほどあっさりとしていた。

婦人科でお馴染みの椅子に座らされ、機械的に脚を開かれる。違うのは、医師も私も静かに、熾火をふたりの間で絶やさぬよう視線を交わしていることだろう。医師が何か説明している。私はというと「はい」「ええ」としか言わなかった。レコーダーに声を拾われぬよう、懸命に喉を絞り上げた。録音を切らないことが私の矜持であり、命綱だった。長く回しているせいかレコーダーが熱くなっている。それが正しい認知なのかはもはやわからなかったが、そう信じることで殺し合いの舞台に私は立ち続けていた。変わらず彼は私のうしろにいた。姿は見えないが、部屋には2人の男の気配があった、と身体が記憶していた。

*ブラックアウト

隣の部屋はセミダブルベッドくらいの広さの暗闇だった。ほそく開いたドアから、施術室の明かりを盗む。医師と私は向き合って立ち、手元にあるコンドームにつまった卵子を覗き込む。卵子はBB弾くらいの大きさからパール大くらいまであった。無色透明でつやつやと丸く、消臭ビーズみたいだった。

「たくさん採れました。とても良い状態です」

卵子の良し悪しはさっぱりで、はあ、とか曖昧に頷く。現実とフィクションはこうも違うのか…?なんて『胚培養士 ミズイロ』を思い出しながら考えていた。医師がしっとりとした声で何か説明している。これもレコーダーが記憶する。

いつの間にやら手に取っていた卵子のひとつをドアの明かりの方へ透かしてみる。指と指の間には何もないように見えた。ああ、だからこんな暗く狭い部屋なのかと気づく。ぷつり、と音を立てて、私は自らの意志のもと卵子を潰した。

さいあくだ。

*ブラックアウト

医師と私がキスする。左胸に刺すようないたみ。

*ブラックアウト

上質なシートに座っている。

私は助手席に、例のずっと控えていた彼が運転をしている。外は暗い。トンネルの中だと気づくのに数秒かかった。車線がひとつしかない。身体が、起こったことをまばらに記憶している。左胸に入っていたレコーダーからまぼろしのように頼りない駆動音が聞こえる。

*ブラックアウト

アラーム

目覚め

忘却